我が家の猫は突然下痢が発症して、3か月間ほど通院しましたが、なかなか治りません。
食事を変えてもダメ、抗生剤を変えてもダメ、ステロイド投与で改善するも、ステロイド量を減らすとすぐに便も緩くなるという始末。。。
そこで獣医師と相談して大学病院で診てもらうことになりました。
通院生活についてはまた記載したいと思いますが、今回は大学付属の動物病院について書きます。
大学付属動物病院に行くまで
いわゆる町の動物病院は獣医師先生の言葉だと一次病院と呼ばれています。
それに対して大学病院は、一次病院には無い設備や専門知識、最新の研究結果があり、一次病院では対処が困難なときなどに診てもらいます。
我が家の猫ちゃんは下痢は続くものの、それ以外は特に問題なく、体重が極端に減るような状態にもなっていません。
ですが、治療期間が長すぎたので、最新の治療法を研究している大学の動物病院であれば何かわかるかも、ということで岐阜大学付属動物病院に診察して頂くことになりました。
岐阜大学付属動物病院は東海圏で一番大きい機関だそうです。
岐阜大学動物病院の予約はかかりつけの動物病院経由で行います。
カルテなどの情報はすべて事前にかかりつけ医から岐阜大学動物病院に連携してもらいます。
予約が取れる日はだいたい2,3週間先の日程になる、とのことでした。
候補日をいくつかお伝えし、その数日後に診察日が決まったことを連絡いただきました。
かくして猫と猫の便を持って人生初の岐阜大学動物病院に行ってきました。

病院行くの?的な顔
診察内容
今回が初めての岐阜大学動物病院でしたが、普段通っている動物病院と違い、個別の診察室が8つほどあり、その中で、ホワイトボードを使って丁寧に説明してくださりました。
普段の動物病院も丁寧に教えてくれますが、個別の診察室やホワイトボードは無いので、いつもよりしっかり話を聞くことが出来ました。
教えて頂いた中で主なトピックは3つ。
- これまでの治療からステロイド性腸炎の可能性が高い
- しかしリンパ腫がある可能性も捨てきれない
- どのような検査方法をとるか
下痢の症状
主な下痢の症状について教えて頂きました。
- ステロイド性腸炎
- 感染による下痢(ウィルス・細菌・寄生虫)
- 食事が原因
- リンパ腫の症状による下痢
これまでご飯を変えたり、何回も検便をして何も出てこなかったことを考えると、ステロイド性腸炎の可能性が一番高いとの見立てでした。
ただし、一番重大な症状であるリンパ種の可能性も捨てきれません。
リンパ腫とは
リンパ腫とはリンパ球が癌化してしまう病気で、猫の腫瘍の中では比較的多いです。
生命に関わる病気です。
リンパ腫になると、体がぐったりして食欲不振、体重減少(ステロイド治療して副作用で食欲が増しても体重は減る)になります。
今回は該当しないので考えにくいですが、可能性としてはゼロではありません。
検査方法
ではこれらを踏まえて、具体的にどのような検査が有効なのか、獣医師さんから説明を受けた検査は以下の4つです。
遺伝子検査
遺伝子検査とは、便の中のウィルスや菌・寄生虫の有無を確認します。
これまで一次病院で何回も便検査してもらいましたが、通常の検査は顕微鏡で見るため、見逃しがあったり、そもそも顕微鏡では検知できないウィルスや菌も存在します。
遺伝子検査では、それらを遺伝子レベルで検査することで、顕微鏡検査より高い精度の検査結果が分かります。
超音波検査
リンパ腫を検査するときに、まずはじめに行う検査です。
超音波を使って、腸の形などをチェックします。
お腹の毛を剃る必要はありますが、麻酔は不要で猫への負荷も小さいです。
後に写真を載せていますが、体の中の断面図を荒い画像で確認するだけなので、ただしこれだけで正確な診断は出来ません。
何か異常個所が写っていればリンパ腫の可能性が高いことは分かりますが、リンパ腫と断定することもできず、また異常個所が無くともリンパ腫では無いとは言い切れません。
内視鏡検査
カメラ付きのチューブを体内に通し、消化管の中を映像でチェックする検査方法です。
超音波検査より正確に診断できますが、猫は人間と違って暴れてしまうので全身麻酔をかけなくてはいけません。
生検
お腹を開けて細胞を取り込んで検査する方法です。
内視鏡検査よりも正確に診断できます。
リンパ腫を診断するときは、最終的に生検が必要になります。
お腹を開けるのでもちろん猫ちゃんへの負荷も大きいです。
またステロイドを飲んでいると一時的にリンパ形質が変化してしまい、正確な状態が分からないので生検を行う数日前には薬も止めなくてはいけません。
今回の検査方法
診断の正確性としては、超音波検査→内視鏡検査→生検となりますが、猫ちゃんへの負荷もその順に大きくなります。
リンパ腫を完全に診断するためには内視鏡検査・生検が必須となりますが、通常まずは超音波検査から行うとのことで、セオリー通り超音波検査をして頂くことにしました。
また寄生虫や菌の可能性も低い見立てですが、念のため遺伝子検査も行って頂きました。
検査結果
超音波検査
超音波検査検査としては幸いにも特に異常は見られませんでした。
下記は超音波検査の画像です。
赤い枠が腸の断面図です。
平べったくなっているのが分かります。
ここが膨らんでいるとリンパ腫の疑いがありますが、今回は異常は見当たりませんでした。
遺伝子検査はまた別の専門機関で検査するので結果が分かるのは約1週間後になりますが、超音波検査では異常が見当たらなかったので今後の対処としては基本は現状維持でステロイド投与で様子見ということになりました。
今後、体調が悪化したり体重が減ったりするとリンパ腫の疑いもあるので、内視鏡や生検を行うという方針になりました。
ちなみに超音波検査のためにお腹を剃られた画像です。
もっとがっつり剃られると思っていたのでちょっと安心しました(笑)

ドラえもん風・・・
遺伝子検査
岐阜大学動物病院に行った1週間後に遺伝子検査の結果が分かりました。
こちらも特に問題は見つかりませんでした。
わかりづらいですが、猫コロナウィルスやサルモネラなどの検査項目が羅列してあり、各項目とも-(マイナス:異常なし)になっています。
費用
費用は以下のようになりました。
- 初診料:3,920円
- 猫下痢パネル(遺伝子検査):11,470円
- 超音波検査:5,920円
- 合計:21,310円
一般的に大学付属の動物病院は治療費が高額です。
一次病院では出来ない治療を行っているので、その分高額になるのは致し方ないことでしょう。
ある程度想定していた金額でした。
上記金額に対し、ペット保険を適用して21,310円×0.3=6,393円でした。
余談:難しい病気にかかったときの心構え
治療には色々な選択肢があります。
簡易的な検査では獣医師も判断ができないため、現状ベースに試行錯誤するか、精密な検査でより正確に現状を把握するか、という選択肢があります。
精密検査にも色々ありますが、正確な情報を得ることが出来る分、猫の体力面や私たちの経済面で負荷が大きいという障壁もあるので、おそらくまずは前者(現状ベースの試行錯誤)になると思います。
しかし前者だとなかなか答えにたどり着けず、いたずらに治療期間が延びて通院回数を重ね、治療費もかさんでしまいます。
何が言いたいかというと、難しい病気であればあるほど、獣医師に任せっぱなしには出来なくて、自分たちで色々判断しなくてはいけないということです。
そのためには治療法や病気について知ること、これまでの治療してきた経緯をきちんと記録すること、そして言わずもがなですが猫の体調も十分に把握することが重要だと思いました。
おまけ
待合室でテンション下がりまくっている猫です。
頭をキャリーケースに押し付けて絶望感を演出しています・・・
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